silentsea
90年代後半〜2000年初頭にかけての20〜30代の頃、カセットテープのMTRを使って自宅録音に没頭していた時期があった。その頃は、とにかく時間があったので4トラックの機材の中で、まるで呼吸をするように日常的に音作りをしていた。切ったり貼ったりの編集はせず、長めにリズムパターンを作り、アドリブで音を乗せてフェーダーで調整していくという単純なやり方をしている。そのため比較的長い曲が多く、ほとんどはインストゥルメンタルであり、どちらかといえば内側に向かっていくアンビエントな曲になることが多かった。
やがて、曲の長さを左右する打ち込みのリズムパターンをなくし、輪郭を消すような抽象的な音楽に少しずつ変わっていった。風や波を自分なりの捉え方で音楽にしたいという気持ちがどこかにあったように思う。スタジオでセッションをしながら曲を作っていたバンドとは別にごくごく個人的な音作りであった。
ここに挙げているのは、それら自宅録音をしていた「silentsea」名義の曲である。
使用機材は、ギター/ベース/808系のフリーの打ち込みソフト/4トラックMTR。
現在、ライブペインティングをする機会が増え、LOOPERなどを使って、即興で音楽を制作しながらペインティングをしているが、これはこの自宅録音の作業とよく似ている。曲もまさにこの「silentsea」の延長線上にある。
尚、名義である「silentsea」とは、夜空に浮かぶ月、その月面にある海「静かの海」からとっている。